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季節によってポイントや釣り方を変える理由
チヌ(クロダイ)も他の魚と同様に変温動物であり、水温によって居心地の良い場所を探します。チヌの適水温は13~23℃といわれています。夏と冬で海水温は大きく異なるため季節によってチヌの場所や釣り方を変えなければいけません。
3月中旬~6月 産卵期を段階的に分けて考えよう
春になり徐々に水温が上がってくると産卵場となる浅瀬へとチヌは入ってきます。この時期はよくのっこみと言われますが、のっこみとは産卵のため接岸して食いが立っていることを指します。そして産卵を終えた個体は徐々に河川に入っていきます。そのため産卵前と産卵後でチヌの居場所を見極めなければいけません。※地域によっては年中河川にチヌがいる場所もあります
補足ですがチヌの卵は分離浮性卵で海藻などに産み付けるのではなく海面に漂っていることでも知られます。
産卵前
3月~4月、のっこみと呼ばれる荒食い時は浅瀬(水深2m以下)のワンドがおすすめです。 ワンドとは入り江状に深くえぐれているところを指します。理由は安定した潮の流れが産卵には適しているからです。海藻やゴロタなどが絡むとさらに良いです。
ボトムが砂地ならシンカーで砂煙を上げるように誘うのも効果的だね
産卵後
5月~6月、産卵を終えた個体が増えます。産卵後は体力を消耗して休んでいる個体が多いのでなかなか口を使ってくれません。 のっこみ時と比べアタリが減ったな…と感じる時期です。この時期からだんだんと河川でチヌを見かけるようになってきます。狙いは河川でのかけ上がりや藻場、ゴロタ周りを重点的に、そして少しでも確率を上げるためマズメの時間(ナイトゲーム含む)など魚の食いが立つタイミングや警戒心が薄れたタイミングを狙うのがベスト。またいつもよりスロー気味に誘う釣りが適しています。
深い所と浅い所がはっきりしているね。この深くなっているところにチヌがよく付いてるよ
7月~10月 潮の流れ、地形変化、状況変化を意識しよう
この時期はベイトも豊富でたくさんの甲殻類や小魚が活動を始めるためルアーフィッシングが1番おもしろい時期です。 水温の上昇によりチヌが水面まで小魚やエビを追い食いするシーンが増えます。また水深30cmほどでも遡上し背びれを出して泳いでるチヌも見かけることがあります。 オープンウォーターでも釣れやすい時期にはなりますが、チヌを釣る確率を上げるためには効率よくチヌがいるところにルアーを投げること。を意識しましょう。 狙いはやはり河川です。
ストラクチャー
ストラクチャーは警戒心の強いチヌが身を隠せる場所のため好んでいます。ここでは橋脚とテトラを代表例として記述します。ストラクチャーはシーズン問わず高確率で魚がついています。
テトラ
※赤丸部分にチヌがいます
ストラクチャーは基本的には何度もルアーを通すことはしません。数投して反応が無ければどんどん次のストラクチャーを探しましょう。数分空けたらまた打ち直します。
テトラは色んな小魚や甲殻類が身を隠す場所に適しています。特にカニは河川の浅瀬で砂地や岩、石などの隠れる場所が多い所ほど生息しています。よってテトラ周りには多くのカニがいます。それを目当てにチヌも多く見えます。
写真の橋脚には牡蠣殻が付いています。こういったチヌが好きなものが付いているストラクチャーもチヌを見つけるポイントになります。
インレット
インレット(水が流れ込む場所)はエサが流れてくる可能性と潮の流れの変化、水温の調整効果でチヌが良くついています。比較的食い気のあるチヌが多く狙い目です。海で有名なインレットといえば水門や排水口などです。7月後半~8月は 水温の上昇や日差しが強くなるためインレットは効果的。
シェード
シェード(影)は高水温で日差しが強い日にチヌが溜まる場所に適しています。橋の影はもちろん木の影や岩の影などを意識しながらチヌを探していると影にチヌが良くついていることがわかります。特に水面から橋や木などが近い方がチヌが付いていることが多いです。
7月後半~8月は水温の上昇や日差しが強くなるため効果的。
人間が暑い時に影に入りたくなる行動と似ているね
雨(濁り)
晴れがしばらく続いた後の適度な雨は状況変化の効果がありよく釣れます。状況変化の例としては水温変化、酸素濃度の変化、水質の変化などがあります。海水の透明度について濁りすぎはよくありませんが、適度な濁りはルアーが見切られる確率が減りチヌを釣り上げる確率は上がると考えています。雨の影響は低水温の冬の時期でない限り効果を発揮してくると感じています。
水深50cmくらいだけどボトムが見えないくらい濁っているね。これくらいが濁りの上限とメガネ男子的には感じているよ
ナイトゲーム
チヌの警戒心が薄れるタイミングはもちろん人間の気配も消せるので有効です。何より日中の暑い中で釣りをするよりも体力面でも釣果アップにつながります。日中の明るい内に地形変化などの情報を集めてナイトゲームに挑戦してみましょう。
※写真は右から左に潮が流れています。橋の右側にルアーを投げて橋の下にルアーが流れるように巻いてくると暗くなっている橋の下あたりで食ってくることが多いです。(シーバス率が高い)
橋の底から海水面が近い場所ほどよく釣れます
冬のチニングについて
水温が下がってくるとチヌの活性が下がり動きも鈍く今までのシーズンより釣果は下がりやすくなります。また河口部であれだけ見かけたチヌが少なくなっていくのを感じる時期でもあります。
浅瀬より深場を選ぼう
まず基本となる考えは水温。深場のほうが水温が安定しているからです。浅瀬で見かけたチヌは深場に潜っているため見つけにくくなります。そのため引き続きチヌが好むストラクチャーを狙っていきますが冬は水深も意識して釣りをしていかなければいけません。
ハードボトム
ボトムがゴツゴツした場所を重点的に狙っていきましょう。この釣りはシーズン問わず有効ですが冬の渋い時期だからこそより効果的な釣りをしていきます。写真のように浮き上がってるのがハードボトムです。満潮になればここが沈みチヌがよく付いています。水深が浅すぎるとチヌがいないことも多いので釣り場でチェックしてみましょう。
地域差はありますが河川でチヌが釣れるのは12月前半くらいまで
ルアーの動きはスローに
水温低下でチヌの動きが遅くなっているため活発に動きません。そのため底をズルズルとゆっくり巻く釣りでないとなかなか口を使ってくれません。
潮の流れって重要なの?
重要です。どのシーズンにも言えることですが重要です。
特に筆者が感じているのは一部の場所だけ急に潮の流れが早くなるタイミングは釣れやすいです。
基本的には大潮は短時間に潮が良く動くので短時間釣行に向いています。中潮は比較的長い時間潮が動いてくれるので長時間釣行に向いています。
今釣りをしている場所でここだけ潮の流れが急に早くなったと感じるタイミングはありませんか?そういった気になる場所があれば攻めてみるのも攻略法のひとつです。
最後に
チヌを1匹でも多く釣るためのポイント選びをまとめました。ここで紹介していないけど良くチヌが付いているポイントはまだまだたくさんありますよ。自分の周りの釣り場をよく見て探してみましょう。
水温やベイトによって口の使い方が変わり、それに応じて釣り方を変えなければいけない難しく楽しい釣りがチニングです。それを考えるのも1年を通して私たちの身近に生息してくれているおかげですね。